初恋の味はどんな味?
ピリリリリ……
誰かのケータイの着信音がなる。
「誰?」
私はそうたずねて、黒木君を見た。
「…オレ。」
……もう終わりなんだね。
そう呟いてケータイの画面を見ている黒木君の表情を見て思った。
黒木君はケータイを見たまま電話に出ようとしない。
「ケータイ、出ないの?」
私は笑顔を貼り付けて聞いた。
そうしないと泣きそうだったから。
「あぁ……出るよ。」
黒木君はケータイを耳に当て、教室を出て行った。