初恋の味はどんな味?
女の子達の間から坂中サンの姿が見えた。



坂中サンは水谷サンと話している。



楽しそうに笑っている。



その笑顔を見ていると、不思議と俺も幸せな気持ちになる。



「黒木君?」



坂中サン達が視界から消え、別の女の子がその隙間を埋めてしまった。



「あ、ゴメン。どーした?」



坂中サンが見えていた場所から視線を、隣に座っていた由佳里サンに移す。



「だからこの問題、教えて〜♪」



「あ、私も!!」



「アタシ、この問題!!!!」



「ちょっと!!!順番守ってよね!!私からなんだから!!」



「私も」と騒ぎだす女子。



目の前に広げられた教科書。



俺じゃなくても別のやつに教えてもらえばいいのに…。



そう思っていても感情は表に出せない。



「じゃ、順番にね。」



笑って言うと解決してしまう。



これじゃぁ、八方美人みたいじゃね〜か…。
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