初恋の味はどんな味?
「……な〜んてね♪冗談だよ。」



スッと黒木君の顔は離れ、頬に当てられていた手も離れた。



「……へ?」



「俺の忘れ物は電子辞書。明日、英語があるのに教室にわすれちまってさ。」



黒木君は笑いながら立ち上がる。



私はさっきの出来事のパニックから抜け出せずに床に座り込んだままだった。



そのことに気付いた黒木君が笑って手を差し延べる。



「どーした?幽霊のせいで腰抜けたか?」



「ち、違うよ!!!」



私は床に手をついて自力で立ち上がった。



黒木君は少し残念そうに微笑むと手を握って体の横に持って行った。
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