a scar -傷痕-
タクトはあからさまに嫌な顔をした。
「…ごめん」
謝るけど何も言おうとしない。
ムードなんてぶち壊しだ。
「怒ってねーよ…でも」
『でも?』
「……今日はもう帰って」
自分の性欲を晴らしきれなかったって事だけで久々の二人きりの時間も終わり。
最低な男だって、
そんなの分かってる。
「……うん」
そのままタクトは二階に上がってしまい、あたしは人様の玄関で半裸の状態。
自分の馬鹿さに腹が立つ。
情けなさと、やるせなさ。
でもぶつけるとこなんて無いから服を着て、静かにタクトの家を去った。