a scar -傷痕-

拓巳は驚きながらも何も言わずに、肩を支えた。

…そういう優しさがあたしを狂わす。

でも…肩を支えられている事で…甘えている事も確か。

お互い様だね。

「ごめん…ありがと…」

「ごめんなんて言うなって…寂しいだろ」

寂しい?
あたしを振ったくせによくそんな事言えるわね。

「あたし…急いでるからバイバイ」

そう言い残して信号を渡った。
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