a scar -傷痕-
赤い雫
「ただいま…」
リビングからはテレビの音と、家族の笑う声。
あたしには気づいてくれないんだ。
何も言わず自分の部屋に行き、鍵を閉める。
「はぁ…」
溜め息を一つ尽かせバッグもパーカーも床に脱ぎ捨て、ベッドへと飛ぶ。
冷たいシーツに顔をうずめて一段落すると、ベッドの上に座り、机からあるものを取り出した。
剃刀。
あたしはこれがないと、生きていけない。
リスカがなくちゃダメだった。
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赤い雫