a scar -傷痕-
「………」
声がする。
「ナナ」
誰かがあたしを呼んでいる。
行かなきゃ。
でも届かないよ。
あたしは、届かない。
翼がほしい。
どこまでも飛んでいける。
あなたの元へ飛んでいける。
美しい翼を開かせ、
あなたへ元へ飛んでいきたい。
14歳のあたしには、
生きる価値など分からず
ただ、意味もない世界で
必死に足掻いて。
生きる証は無数の傷痕。
痛みは、あたしを裏切らない……