落下の果実
………ある意味、人間としての枠組みを超えちゃうくらい綺麗。
異世界の人ってみんなこんなに綺麗なのかしら。
………大変、あたし浮きまくり。
どうしよう、こんなチビッ子で容姿も平凡ときたら、きっとイジメの対象だわ。
だいたい、種族が違うのに仲良くなれるのかしら。
「おーい、〈来訪者〉さーん?大丈夫?」
ググッといきなりドアップで美形が迫ってきて、あたしはうぉあっ!?と体を引く。
「変なのに追いかけられたって?」
「へ?……あ、はいはい!そうなの、そうなの!!なんか黒くて口がおっきいヤツ!なんなの、アイツ。あの足の速さは反則でしょ!?」
「ガラシィから逃げてきたのか。………ずいぶんと足の速い子だね」
「ガラス?あれ、ガラス?」
いや、とってもそんな繊細なモノには…………
もわもわん、とさっきの魔物(らしきもの)の姿を思い浮かべる。
真っ黒な巨体に、やたらと大きな赤い口。
低く唸っていたよく分からない生きモノ。
………うん、ガラスには見えないね、あれ。
「いや、ガラシィ。『ス』じゃなくて、『シィ』。………ところでガラスってなんだい?」
「あぁ、シィね、シィ。で、ガラス?ガラスって言ったらあんた………うあ、ない!なに、これ窓ガラスじゃなくね!?」
んなことも知らないの、と窓ガラスの方に目を向けた。
窓枠にはまるのは透明な物体A。
透明だけどガラスじゃない。
だってなんか見た感じあれ、プニョプニョしてる。
なんて言うの?
たとえるなら、スライム的な?
なんかメッチャキモいんですけど。