落下の果実
なんてどうでもいいことを考えながら、ふあと欠伸をする。
「眠い?」
「うーん、今日は授業中寝なかったからねぇ」
「ジュギョウ?」
「あれ、それもないのか。授業ってねぇ、数学やったり歴史やったり体育やったりする時間のこと~。学校ってところでお勉強するの」
「なるほど。アオランみたいなものか」
「あおらん?」
「カズの言うガッコウと同じようなものだよ。そこでは部族ごとにクラス分けされて、魔法とか武道とかを習うんだ」
「へぇ。結構大変そうだねぇ」
「そうでもないよ。結構楽しいよ」
本当に楽しげに笑ったラディの瞳の奥に寂しげな光があるのを見て首を傾げる。
なにか嫌な思い出でもあるんだろうか。
「カズ、寝るならそこに布団があるよ。ちょっとホコリっぽいかもしれないけど」
「マジですか。やったね」
贅沢を言えばベッドが良かったけど、まあ異世界に来てそんなことは言えないよね。
「オレは少し外に出るけど、カズは出ちゃダメだよ。この森にはガラシィ以外にもいろいろ棲んでるから」
「合点承知」
「おやすみ、カズ」
「おやすみ~」
こうして魔の森にて、あたしの異世界ライフが始まった。