落下の果実
「……なんだろ、これ」
拾ってみれば、見たことのない模様が刻まれた銀色のコインだった。
太陽の光を浴びてキラリ、と光るそれは綺麗なのにどこか禍々(マガマガ)しさを感じる。
刻まれてるのは……
「…ユニコーン?」
あれだ。
一角獣ってヤツ?
頭に1本角の生えた馬みたいなヤツに薔薇が巻きついている。
薔薇だからトーゼン棘(トゲ)があるわけで。
暴れるようにユニコーンは前足を上げている。
「趣味悪っ」
どこか拷問にかけられているようにも見えるユニコーン。
趣味が悪いとしか言いようがない。
いらないや、と元あった場所に戻そうとした瞬間だった。
「うおわっ!?」
コインを持っている手が強く引っ張られた。
なにに?
………コインに。
そのまま全身がグイグイ引っ張られ、気付けば
「どこよ、ここ」
森の中にいた。