落下の果実




辺りは真っ暗。


見上げれば、木々の葉の間から丸い丸いお月様。




「………お月様?」




いや、おかしくないか。


今の今まで昼間だった。


太陽がちゃんと出てたはず。


なのにナゼいきなり夜に?

あたしのダラダラする予定だった時間はどこへ!?




「うわ、うわ、意味分かんない」




たしかコインを見つけて、拾ったらこうなったはず。

それならまたあのコインを触れば……



「およ?」



ない。


たしかに掴んでいたはずのあの趣味の悪いコインがない。




「嘘でしょっ!?」




あれがないと帰れな……ん?




帰れない?


あたしはどうしてここが地球じゃないと分かってるんだろう?


なんでこんなにすんなりと異世界に来たんだって納得してるんだろう?



フツーに考えればこれは夢だ。


だって異世界に来ちゃったなんてアリエナイ。


ここはあたしの夢のセカイ。


そう考える方が自然じゃない?



あたしのダラダラした学校終わりのパラダイスはとっくに終わってて、夢の中。

そう考える方がしっくりくるはずなのに。




< 5 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop