紅い部屋
「夜の生き物になって、名前は捨てたよ」



キイチは悲しそうに言った。




「じゃぁ、あたしも捨てなあかんなぁ・・・」



あたしはギターを肩に掛けながら言った。




楽譜もファイルに1枚1枚丁寧に入れた。




そんなあたしの左手を、キイチがつかんだ。


あたしはビックリして、キイチを見た。



「キ、イチ・・・・・?」




「・・・簡単に名前捨てたらダメだ」




「ぇ・・・??」




真剣なキイチ。



でも、どこか悲しそうだった。寂しそうだった。
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