切恋~First Love~
1章

4月◇1



ジリリリリリリリリリッ


バンッ


うるさく喚く目覚し時計を手でたたく。


毎日聞き飽きたこの音を放つ時計は、昔おじいちゃんからもらったもの。


「・・・んー・・・」


温かみのあるベッドから上半身を起こし、背伸びする。


一回目覚し時計が鳴っただけで起きるなんて、普段じゃありえない。


少しながら自分を褒める。


そして嫌々ながらカーテンに手を伸ばし、両手で思いっきり引っ張った。


「まっ・・・ぶし・・・」


思わず声をこぼす。


嫌味なぐらいすがすがしい朝日が、部屋一面を明るくした。


ベッドから出なきゃダメかなぁ・・・。


「ふああぁ・・・」


あくびを1回したのち、よたよたとおぼつかない足取りで部屋を出た。


< 1 / 337 >

この作品をシェア

pagetop