切恋~First Love~


キーンコーンカーンコーン


もちろんお弁当の中身を全部食べることはできなかった。


本当は昼休憩の時間にもお弁当を食べていたかったけど、テスト勉強のために渋々昼食タイムを切りあげた。


大量の教材を持って図書室に向かう。


前に1度、佳耶にこんな質問を投げかけたことがある。


「放課後はまぁ置いといて、昼休憩くらい教室で勉強してもいいんじゃない?」


そんなあたしに佳耶は、


「教室うるさいじゃん。集中できなくてもいいなら別にいいけど?」


とキッパリ言い切った。



この頃図書室に来ている生徒の人数が増えている。


机いっぱいに参考書などがひろげられなくなってきたけど、隣に座っている生徒に毎回ガンを飛ばす佳耶のお陰でなんとか場所を確保できていた。


佳耶は今日も図書室の長机にドカッと座り、バサッと冊子を投げ出した。


「南美、じゃあ昼は数学やるよ。でも放課後は別の教科だからね?」


・・・佳耶がよりいっそう輝いて見える。


佳耶はいつものようにあたしにシャーペンを持たせ、


「・・・へ?」


今回はいきなりワークを出してきた。


いつもなら、初めは佳耶の説明からなのに。


「南美、今日でからはどんどん問題解いていってね。あ、分かんなかったときは質問は受け付けるけど、答えは教えないからね」


そう言うと佳耶は流菜ちゃんの方を向いて、一足早く応用問題を教え始めていた。


応用かぁ・・・。


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