切恋~First Love~
何度もトライして、飽きるくらいに英語を聞く。
まるで滑るかのように発音のいい英語が、ずっと頭にこだましている。
・・・英語中毒になりそう・・・。
実際そんなものが存在するのかどうかは分からないけど、そう思わせるには十分だった。
「ねぇ、南美ちゃん佳耶ちゃん。雨降ってない?」
窓の外に視線を向けている流菜ちゃんがそう言った。
流菜ちゃんにつられるように窓を通して外を見る。
ポタポタポタ
耳を澄ませてみると、確かに雫が地面や草木を打つ音がする。
あたし達が声を出していないとまるで音がない。
あるのは雨の雫が落ちる音だけ。
それらだけが存在を示していた。
「あっちゃー・・・またこのパターン・・・?」
流菜ちゃんが頭をかく。
でもあたし、今日はちゃんと折りたたみ傘持ってきたんだよねー!
というかこの頃入れっぱなし。
ほんのちっぽけなことだけどラッキー!
そして3人で教材を片付けて準備室を後にした。
このジットリした空気、気分まで重たくなるからやめて欲しい。
心の中でつぶやいてから溜め息をこぼした。