切恋~First Love~


「流菜ちゃんの彼氏ってどんな人?」


何気なく佳耶が放った言葉に、流菜ちゃんはまたも顔を赤くし、


「んー・・・っとね・・・」


少し間をあけてからこう言った。


「・・・実は流菜の彼氏も水商売してるんだよね・・・。ホスト、やってるの」


ザワザワしている教室の中、流菜ちゃんの声だけがやけに鮮やかに耳に入る。


でも目の前で話してる流菜ちゃんは、この前あたし達に自分のことを打ち明けてくれた時のように辛そうな顔はしていなくて。


照れたように、言葉をつむいでいて。


「翔悟っていうんだけどね、凄くいい人なの」


むしろ生き生きとしていた。


「流菜のお店で出会ったんだぁ。翔悟にはたくさん助けられて・・・・・・本当に大好きなの。凄くかっこよくて、優しくて、とにかく流菜にはもったいないくらい素敵な人なの・・・」


言い終わると、流菜ちゃんはやんわりと微笑んだ。


耳まで赤色に染め、目を三日月のようにして話す流菜ちゃんは本当にかわいかった。


流菜ちゃんの話を聞いているあたしまでドキドキした。


「だから流菜、水商売始めたことに後悔はないよ・・・なんて言い切れないけど、でも翔悟に会えたから・・・良かったと思ってるんだ」


「流菜ちゃん、幸せそうだね!」


「えへへっ・・・」


流菜ちゃんはとっても素敵な人に出会えたんだね。


何だか嬉しいな。


素直に、心の底からそう思った。


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