切恋~First Love~
「何で神崎君を好きになったの?」
流菜ちゃんが穏やかな声で聞く。
「ははっ・・・何でだろ。おもしろいからかなぁ・・・イメージとのギャップがあるからかなぁ・・・。分かんない、いつの間にか」
『人を好きになるのには理由なんかいらない』
今の佳耶にはその言葉がピッタリな気がした。
「あんなに嫌いだったのにな~・・・。あたしも南美に似てきたのかな?」
さりげなく、いつもの辛口の冗談を飛ばす佳耶。
「何それー!」
「嘘だよ、嘘」
でも少し切なそうな、その顔。
そんな顔されちゃ、罪悪感抱いちゃうでしょ・・・?
あたし、佳耶のこと大好きだから。
こんな黒い自分のまま、佳耶のそばにいたくないから。
だから・・・。
だから、決めた。
「佳耶、あたし何でも聞くから。いろいろ相談してね!」
上手く笑えたよね?
自然に言えたよね?
もう、神崎涼を視界に入れるのはやめよう。
もう、頭から追い出してしまおう。
こんな中途半端な気持ち、消してしまおう―――――。