切恋~First Love~


「何で神崎君を好きになったの?」


流菜ちゃんが穏やかな声で聞く。


「ははっ・・・何でだろ。おもしろいからかなぁ・・・イメージとのギャップがあるからかなぁ・・・。分かんない、いつの間にか」


『人を好きになるのには理由なんかいらない』


今の佳耶にはその言葉がピッタリな気がした。


「あんなに嫌いだったのにな~・・・。あたしも南美に似てきたのかな?」


さりげなく、いつもの辛口の冗談を飛ばす佳耶。


「何それー!」


「嘘だよ、嘘」


でも少し切なそうな、その顔。


そんな顔されちゃ、罪悪感抱いちゃうでしょ・・・?


あたし、佳耶のこと大好きだから。


こんな黒い自分のまま、佳耶のそばにいたくないから。


だから・・・。


だから、決めた。


「佳耶、あたし何でも聞くから。いろいろ相談してね!」


上手く笑えたよね?


自然に言えたよね?



もう、神崎涼を視界に入れるのはやめよう。


もう、頭から追い出してしまおう。


こんな中途半端な気持ち、消してしまおう―――――。


< 141 / 337 >

この作品をシェア

pagetop