切恋~First Love~


黒板にあらかじめ書かれていた座席の表に、クラスメイトの名前が次々と並べられていく。


「・・・おっ、俺1番後ろじゃん。ラッキー、寝れるわ」


尾崎君がそう言った瞬間、教室がドッと沸く。


あたし達の中で1番初めに名前が書かれたのは尾崎君。


誰もが羨む、窓側の1番後ろの席だった。


あたしも出来るならあんまり目立たない席がいいな、なんて淡い期待を胸に寄せる。


「・・・流菜、1番だったんだぁ。前の方かも・・・」


流菜ちゃんは不安そうに、黒板をガン見していた。


あたし、15番って検討もつかないんですけど。


「お、涼1番前じゃーん!お前くじ運死んでんなぁ」


尾崎君の言葉で、反射的に黒板に目を向ける。


廊下側の1番前の席。


尾崎君の席から1番遠い所。


あたしだってあんな席はごめんだな、って場所。


てか、つまり神崎涼は今と場所が同じってことだよね。


当の神崎涼はというと、


「はあ?まじふざけんな。お前、俺の運奪いやがって。くたばれや」


尾崎君に文句を垂れていた。


そんなやりとりを見ている間にも、座席表の空欄はどんどん減っていく。


まだかな、まだかな・・・。


うずうずとしながら黒板を見ていたら、


「・・・・・・」


言葉が失せた。


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