切恋~First Love~
* * *
「・・・流菜ちゃん、あたしどうすればいいかなぁ・・・」
机を移動させる瀬戸際に、流菜ちゃんにコッソリ耳打ちをした。
「南美ちゃんは悪くないし、どうしようもないことだし普通にしてればいいと思うよ~」
まったく流菜ちゃんの言う通りだった。
それでも机を動かすことに抵抗がある。
佳耶のこともそうだし、何よりあからさまに不機嫌さをかもし出しているアイツの隣にいくのは少しばかり勇気がいる。
憂鬱ながら仕方なく席を移動させる。
鬱の原因であるコイツ、神崎涼の隣に来た瞬間に疲れを感じた。
はぁ・・・。
到底口には出せない溜め息を心の中で吐きつつ、頬杖をつきながらお隣さんの様子を横目でうかがった。
偉そうに足を投げ出しているソイツは、黙々をケータイをいじっていた。
そして数秒もしないうちに、あたしの視線に気付いたのか、こっちに目を向けた。
・・・・・・いかつい。
「何」
いつもより低い声でいきなり声をかけられ、手から顔がずり落ちる。
「いやっ、別に・・・ケータイ好きなんだなぁ、って・・・」
我ながら意味の分からないコメント。
「バカか、お前」
「すみません・・・」
「・・・認めんのかよ」
神崎涼はいぶかしげな表情であたしを見ると、またケータイの画面に意識を戻した。
さっきの眉を寄せた顔、これから何度もされたら恐怖で心臓がもちません。