切恋~First Love~


帰り道、躊躇いながら佳耶に言った。


「佳耶ー・・・何か、あたし、ごめんね」


「は、何が?」


何でか、無性に謝りたくなった。


自分でも何に対して謝っているのか、イマイチよく分からない。


神崎涼の隣になってしまったことの罪悪感からなのか。


神崎涼と話してしまったことからなのか。


それともあたしの中に神崎涼への思いがあることからなのか。


「いや、何ていうか・・・。神崎涼の隣になっちゃったし、これから神崎涼と話しちゃうかもしれないし」


分からないから、どうにも言葉が曖昧になってしまう。


「別に南美のせいじゃないじゃん。ていうか本当にそんなに気遣わなくていいから。気遣って欲しくて、話したわけじゃないから」


佳耶はハッキリを言い切った。


「ただ、南美と約束したし、あたしの気持ちを知って欲しかっただけだから」


佳耶は強い。


強がりなんかじゃなくて、本当に強いんだと思う。


ねぇ、それはつまり、あたしを信じてくれてるってことだよね?


・・・ちゃんと消すから。


その気持ちに応えられるように、この気持ちは消すからね。


「だいたい隣なのに話さないとか、無理じゃない?・・・・・・それに」


・・・それに?


「アイツ第一印象と違って、絡めば結構楽しい奴だから」


佳耶はそう言って、笑った。


それはもう、恋をしている女の子の顔だった。


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