切恋~First Love~


そんなこんなでスタートを切った、新しい席。


席替えの次の日は、


「あーりーえーなーいー」


1時間目から5時間目まで全てテスト返し。


そして6時間目は普通授業。


まさに生き地獄としか例えようがない。


今回のテストは奇跡的に実技が出なくて、それが救いだった。


そのお陰で5教科に力を入れて勉強する事ができたから。




1時間目、国語。


テスト返し1発目は、かなり大切。


・・・そう思うのはあたしだけ?


1発目というだけに教室は静かで、生徒の名前を呼ぶ先生の声だけがこだまする。


「藤井」


「・・・はいぃ・・・」


ハゲた中年の先生から受け取った答案用紙の表を内側にして折り、足早に席に戻った。


・・・最前列だから、すぐそこなんだけど。


神崎涼に背を向けるようにして座り、恐る恐る答案用紙を広げ、点数を見る。


・・・・・・52点。


まあ、いっか・・・。


少し期待はずれの国語の点数に気落ちしつつ、正面に向きなおそうとした時。


「52点?」


頭の斜め後ろから声が聞こえた。


感覚からして、声の主はあたしからそんなに遠くないところにいる気がする。


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