切恋~First Love~
振り返ればそこには、
「んぎゃっ!」
神崎涼の顔が。
相変わらずきれいな顔・・・・・・なんて思う暇さえない。
まさに瞳孔全開状態。
あまりにも唐突すぎるその登場に、冗談なしに心臓がひっくり返ったような気がした。
見られたテストを隠す事すら忘れて、ひたすら焦る。
「なななんで、なんで、え?は?」
どんどん離れていくソイツに何て言ったらいいのか分からず、ただただ疑問符を投げかけた。
「いやいや、見ただけじゃねぇかよ。焦りすぎ、頭大丈夫?」
イスにもたれながら、あたしを見下すようなセリフを言う神崎涼。
・・・むっかー。
何て言うか、本当に焦り損。
「大丈夫ですー」
顔を背け、神崎涼の方は見ずに返事をした。
平然を装っているけど、神崎涼の方を見たらもうアウト。
今の距離を思い出してしまう。
何十センチも離れていたのだけど、あたしが思い返して恥ずかしくなるには十分な距離。
『南美、ウブだもんね』
いつか佳耶に言われた事が頭に浮かぶ。
ウブか・・・・・・。
あたしは溜め息をついて、心の中で苦笑いをした。
「・・・・・・52点のくせに?」
神崎涼の言葉で、瞬時にあたしの顔が引きつる。