切恋~First Love~
理科室に来たということはもちろん実験。
ぶっちゃけどうでもいい。
ぶっちゃけなくてもどうでもいい。
たまたま班にいた真面目な子が、実験器具やプリントなどを全部持ってきてくれた。
あたしはひたすら教科書で、顔周辺をあおいでいた。
・・・それにしても暑い。
その時、
「あの、藤井さん・・・」
いきなりその真面目ちゃんに話しかけられた。
全然話したことがない子。
「何?」
あたしに一体何の用なのだろう。
「あたし、先生に呼ばれて・・・・・・その、器具の取り付けとかやって下さい・・・」
「はあ?」
何であたしが、というのが第1の感想。
「すすすすすみませんっ、すぐ戻るんで、本当にすぐ戻るんで!よろしくお願いしますー」
別に怒ったわけじゃないのに、メガネの奥の目は恐怖に染まっていて。
逃げるように先生の下へ走っていった。
あたし、そんなに怖がられるような人じゃないのに。
「何なの、あの人・・・」
溜め息混じりにあたしが言った時、
「あーあ、藤井嫌われたな」
世にも憎たらしい神崎涼の声が。