切恋~First Love~
真正面にいるソイツに目を向ける。
「いや、アンタうるさい。ていうか意味分かんないんだもん、あの人」
「かわいそー」
先生と何かを話している真面目ちゃんをひそかに睨む。
神崎涼は何であんな地味な子の肩持つの。
ふざけ半分で言ったと分かっていても、何だかイライラする。
「勝手に言ってなよ」
つい言い方がきつくなる。
「・・・・・・何、お前。怒ってんの?」
「別に。ていうか怒る理由、何もないでしょ」
「・・・だよな」
・・・バカ野郎、納得しちゃうのかよ。
気付かないんだ。
気付いてよ。
好きとか嫌いとかをなしにしても、あんなメガネでお下げで真っ黒な髪の女の子に負けたとなると、悔しい。
冗談だとしても、悔しい。
微妙な空気が流れる。
同じ班のもう1人の男子はオタクっぽくて、話しかける気にならないし。
ずっとこうしてじっとしてても空気が重たくて耐えられない。
仕方なくガチャガチャと実験器具をいじる。
やり方分かんないんですけど。
ええと・・・これ電源装置?っていうんだっけ。
何この、ワニの口みたいなの。
指で動かすとパクパク開く。