切恋~First Love~


頬杖を付きながらプリントを眺める。


何をどこに接続すればいいのか、全くと言っていいほど分からない。


そしてそもそもこれは何なのか、というものまである。


・・・でも中学の時に使った事がある気がするのは気のせい?


「あ、このワニみたいなのは導線なんだ・・・」


これを電源装置のこっち側に繋いで・・・。


「・・・あれ、もう片方はどこにやるんだろう・・・」


ブツブツ言いながら自分なりにひたすら頑張る。



「もう少し静かにできねぇのかよ」


あたしが悩んでいる時に必ずと言っていいほど聞こえてくる、こういう部類のセリフ。


声を聞いたとたん、顔が引きつる。


「・・・うっさいなぁ。やってあげてんだから感謝してよね。文句言うなら自分でやってよ」


ワニ口の導線を神崎涼の顔の目の前でブラブラと動かす。


「は?無理、拒否、却下」


目の前の奴はそう言いながら、あたしが動かしていた導線を指で弾いた。


無愛想な顔でとことん拒否する君は、毎回思うけど何様なんだ。


「そーですか・・・」


適当に流して、ガラにもなくまた作業に戻る。


・・・入らない。


ワニの口の部分を隙間に入れて中の棒みたいなのを挟め。


プリントにはそう書いてあるけど・・・隙間に入らない場合はどうしたらいいんでしょうか。


ゴリゴリと音を立てて無理矢理入れようとするも、断念。


導線の種類を変えよう。


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