切恋~First Love~
でも種類を変えてみても結果は同じだった。
「・・・何で入んないのー・・・誰かやってー・・・」
期待をせずに1人でつぶやく。
つぶやいてみても予想通り、誰も名を挙げてくれることはなかった。
ガツガツと金属がぶつかり合う音だけが、あたしの耳に入る。
何度も繰り返している同じ作業に飽きて、電源装置の近くに頬杖を付き、それを睨んだ。
そろそろ諦めようかと思っていた時。
「そんなに頑張って出来ねぇなんて俺以下だな」
本日何回目なんだろうという、神崎涼のけなし言葉。
「だってさぁ・・・」
反抗する気にもなれず、視線を合わせずに曖昧に返事をした。
いつもはここで終わるのに。
「バカすぎるだろ。貸してみろよ」
今日もそうだと思っていたけど。
どうも違ったみたい。
今までイスの背もたれにもたれてくつろいでいたソイツが、どんどん近づいてくる。
机に。
電源装置に。
・・・あたしに。
あたしの目に映るのは、スピードを落とした世界。
完全に、スローモーションの世界。
ゆっくりと神崎涼が近づいてくる。