切恋~First Love~


誰かの行動や行事が、全て佳耶や神崎涼に繋がっている気がする。


1年の頃はそれこそ、何も考えずに毎日楽しく能天気に過ごしていた。


今みたいにこんなに悩む事なんて何もなかった。


・・・あるとすれば、好きな人が出来なかったことくらい。


人を好きになると、こんなリスクもついてくるの・・・。


好きな人・・・神崎涼のことで頭がパンクしそう。


それから、佳耶のことでも。


人差し指をこめかみに当てて、あたしは深い溜め息をついた。




「佳耶ー!」


ホームルームが終わり、いつものように佳耶のところに駆けていく。


気付かれたら困る。


『いつも通り』、ここ数日それを忘れたことがない。


一緒にいて気まずいわけじゃないけど、どうしても神崎涼絡みのことには首を突っ込みにくい。


「南美!体育祭の種目、何にするの?」


「うーん、まだ決めてない。でも去年と一緒で借り物にするかも」


足の速さを問わないものと言ったら、これくらいしかない。


「あー、まじ?あたしはやっぱ、クラ対かな」


やっぱりそう来るよね。


「うん、佳耶足速いし、それでいいと思う」


「適当だな~」


「え、適当じゃないよ!大真面目だよ、大真面目」


「ふーん、そう?じゃあ今年もクラ対頑張ろっ!」


佳耶と話してると、さっきまで考えてたことを忘れてしまう。


それくらい自然でいられる。


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