切恋~First Love~


・・・何でかな。


・・・どうしてなのかな。


みんなの言葉が無差別に、あたしの心を黒く覆い尽くす。


心配してくれてるのに。


気にかけてくれてるのに。


・・・どうしようもなく、イライラする。


「好きな奴のことで悩んでるんじゃねぇの~?」


神崎涼のふざけたようなその言葉で、あたしの中の時が止まる。


「・・・え?南美、それはないよね?」


佳耶がおどろきを隠せない様子で、聞いてくる。


「え・・・う、ん・・・。当たり前じゃん」


佳耶の言葉に若干のショックを受け、とっさに拒否をした。


・・・やっぱりあたしが恋するなんて、似合わないのかなぁ・・・。


「は?お前、高校生にもなって好きな奴いねぇのかよ」


神崎涼の言葉に涙が出そうになった。


唇を噛んで、必死にそれを堪える。


・・・・・・いるよ、好きな人くらい。


「アンタうるさい。関係ないでしょ」


佳耶があたしをかばってくれた。


だけどそれさえも偽善者ぶってるように見えて、素直に喜べなかった。


「・・・いいよ、佳耶」


あたしは静かに制する。


「・・・南美・・・・・・?」


もう、全部が嫌だ。


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