切恋~First Love~
佳耶が教室の壁に掛けてあるカレンダーを見ながら、あたしを励ます。
7月いっぱいって・・・。
「1週間以上あるじゃん~・・・・・・」
ガックリと肩を落としながら、鞄を持つ。
「南美ちゃん、佳耶ちゃんばいばーい!・・・って言っても南美ちゃんとは7月はほとんど会うけど」
教室から出ようとした流菜ちゃんが、去り際に一言付け加える。
補習という現実を突きつけるような流菜ちゃんのセリフを聞きながら、あたし達も教室を出た。
校舎という日陰から出た瞬間、更に夏という季節を実感する。
「あーあ、南美とは夏休み明けまで会えないのか・・・」
そろそろ正午になるんじゃないかっていう今。
太陽の光がガンガンとあたしと佳耶にぶつかってくる。
気だるそうな佳耶の声。
正直、あたしも今ここで溶けてしまいそうだ。
「夏休み中に遊べるじゃん!メールなら毎日でもできるしさ」
「あ、そういえばそうだね」
熱くなっているだろうアスファルトの上。
そこをハイソックスにローファーという、夏にしては重装な格好で歩くのは厳しい。
足元から、腕から、四方から暑さが襲ってくる。
「ねぇ、南美」
「ん?」
「あ、言いたくなかったら言わなくてもいいけど・・・。この前のこと、まだ言えない・・・?」
佳耶が遠慮がちに聞いてきた。
この前のこととは・・・もちろんあのこと。