切恋~First Love~
「うん、分かった。・・・じゃあ今から聞く質問には、絶対答えて?」
佳耶の方を見ると、柔らかい眼差しであたしを見ていた。
「あたしのこと、すっごく大切な友達だと思ってる?」
佳耶は『すっごく』を強調して言った。
・・・何でかな。
佳耶にそう言われたとき、胸に熱いものが込み上げてきた。
「・・・当たり前じゃん!」
今度はしっかり佳耶の目を見れた。
「じゃあ、許す!」
佳耶はいい人すぎる。
こんなところでそんなフェイント使うなんて、反則だよ・・・。
「あ、そうだ。南美、あのときのグミ食べてないでしょ。あたし今持ってるんだ、食べる?」
「ナタデココの?」
「そう」
「もちろんっ!」
あの日は結局、お弁当の時間まで保健室で休ませてもらっていた。
だから佳耶のグミのことなんてすっかり忘れてしまって、食べることができかった。
午後の授業、教室に戻るのに抵抗があったけど、佳耶と流菜ちゃんのお陰でなんとか普通でいられた。
神崎涼とも気まずくなるんじゃないかって、変な意味でドキドキしてた。
でもたった一言、
「これやる」
って言って、いつかのようにあたしの手のひらにいちごみるくのあめを乗せてくれた。
こんな時にそんなことされたら・・・嬉しすぎて死んじゃうよ、って。
そう心の中でつぶやいたんだ。