切恋~First Love~
「・・・ねぇ・・・・・・」
顔だけを神崎涼の方に向け、消えそうな声であたしは声をかける。
「あ?」
「・・・・・・っ・・・」
言え、言え、言え、言わなきゃ。
「何だよ」
返事のないあたしを不機嫌そうに見る。
無理、口が動かない。
「あ、待って・・・もう少ししたら、言う・・・」
「は?何だそれ」
ケータイに目を戻す、神崎涼。
言ったら終わり、言ったら終わりなんだから・・・。
自分に言い聞かせて、もう1度トライ。
「・・・あのさっ」
今度は目だけをこっちに向ける、コイツ。
「ちゃんと聞いててね、ひいたりしないでね・・・」
心臓の動きが更に早くなる。
「・・・んだよ」
怒らないでよ・・・あたしだって頑張ってるんだから・・・。
震える口元で大きく息を吸う。
心臓の音が、まるでバックミュージックになっているような感覚に陥った。
窓から吹いてくる風はあたしを焦らせるわけでもなく、優しく身体を撫でる。
外は雲1つない快晴で、のどかに、ゆっくりと時を刻んでいる。
あたしの中の世界とは、まるで逆の外の世界。
静かに唾を飲み込んで・・・。
あたしは言った。