切恋~First Love~
結局あたしはそれから30分後くらいに神崎涼を起こし、送ってもらった。
夏だから、夕方といっても辺りはまだ明るかった。
もちろん、神崎涼のブオンブオンいうでっかい黒バイは異様に目立っちゃうわけで。
あたし達は注目の的だった。
あたしの家に着くと、
「じゃあな」
と言って神崎涼は今来た道を戻っていった。
まるで、本物の恋人同士なんじゃないかという錯覚に陥る。
でも、先刻の神崎涼への電話が、あたし達の関係を確かなものにしていた。
「・・・ただいまぁ・・・」
さっきまでのことを考えると、どうにも家に入りづらい。
「お帰りーっ。ずいぶん早かったわね、今日は」
「うん、まあ・・・・・・」
その後、家でごはんを食べている時も、お風呂に入っている時も。
今日、神崎涼としたことが鮮明に脳裏に蘇る。
あの時の感覚、あの時の気持ち・・・。
どうしても頭から離れない。
夜ベッドに入ったら、急に寂しさがあたしを襲ってきた。
昼は神崎涼の匂いのするベッドにいたのに。
昼は神崎涼と一緒にいたのに。
この部屋の静けさが、寂しさをふくらます。
身体が、心が。
神崎涼を強く求める――――。