切恋~First Love~
昼は過ぎ、夕方も越えて、夜になった。
冷凍庫を開けてそこを覗くと、ひんやりとした空気が顔に当たって気持ちいい。
でもあたしが探しているものは、どうやらないらしい。
「お母さーん、アイスないのーっ?」
冷凍庫を覗きこんだまま叫ぶ。
夜だからと言って、暑さがなくなるわけがない。
こよみの上では秋でも、まだまだ8月。
だから無性にアイスが食べたくなるのは、当たり前じゃない?
「えー?ないのー?じゃあ仕方ないんじゃないー?」
「えええー・・・」
どうしても諦められない。
昨日まではたくさんあったのに・・・。
ええい、お父さんめ!
絶対食べまくったな・・・。
「じゃあ買ってくるから、お母さんお金ちょうだーい」
「はあ?ダメよ、こんな夜遅くに」
「いいじゃん、すぐそこのコンビニに行くだけだしさー・・・」
「明日でもいいじゃない」
「無理。今すぐ!」
しばらく言い合いが続き、最終的にジャンケンで決着をつけた。