切恋~First Love~


「行ってきまーす」


「ホントに早く帰ってくるのよ!」


勝ったのはあたし。


負けても行くつもりだったけど、というのは黙っておく。


スウェットにタンクトップという、ザ・部屋着な格好で外に出る。


着替えるの面倒臭いし、誰にも会わないでしょ。


エアコンを使っていない地球に優しいあたしの家のよりも、幾分涼しい空気の外。


だけど、風は全くと言っていいほどない。


ブラブラと歩きながら空を見上げると。


「・・・・・・きれい・・・」


雲1つない夜の真っ黒なそれに、キラキラと光る星がちらばっていた。


大きい星、小さい星、赤い星・・・。


小学校の頃、夏の大三角とかやったなぁ。


ふとそんなことを思い出す。


そういえば、織姫様と彦星様なんてのもいたよね。


今年は会えたのかな、会えてるといいな。


そしてそんなガキみたいにロマンチックなことを考える自分に、笑いがこぼれる。


・・・ん?


でも織姫様と彦星様が会うのって8月だっけ・・・?


まぁいいや、アイスアイス。


あたしはコンビニへの道を急いだ。


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