切恋~First Love~


「いらっしゃいませー」


カランコロンという音と、店員のあいさつに迎えられる。


真っ先にアイス売り場へと進む。


箱にしようかな・・・それともカップをいくつか買おうかな。


あたしはかれこれ10分くらい悩んでいたと思う。


・・・なんて幸せな悩み。


この時のあたしは、数分後に起こる悲劇を知るよしもなかった。




その後コンビニを出て、家に帰ろうとすると、


「・・・あ・・・・・・・」


どこからか、聞き覚えのある音がした。


ブオオォォォオン


ブオオォォォオン


確信はない。


バイクの音なんか、みんな同じだけど。


・・・それでも賭けてみようと思った。


会ってどうするのかなんて分からない。


違う人だったら無駄足になる。


だけど、だけど。


抑えられないから。


好きだから。


衝動的に足が動いた。


ほら、君の事になるとあたしの身体は言うことを聞かなくなる。


このバイクの持ち主が神崎涼であることを願って・・・。



あたしは走った。


< 237 / 337 >

この作品をシェア

pagetop