切恋~First Love~
「いらっしゃいませー」
カランコロンという音と、店員のあいさつに迎えられる。
真っ先にアイス売り場へと進む。
箱にしようかな・・・それともカップをいくつか買おうかな。
あたしはかれこれ10分くらい悩んでいたと思う。
・・・なんて幸せな悩み。
この時のあたしは、数分後に起こる悲劇を知るよしもなかった。
その後コンビニを出て、家に帰ろうとすると、
「・・・あ・・・・・・・」
どこからか、聞き覚えのある音がした。
ブオオォォォオン
ブオオォォォオン
確信はない。
バイクの音なんか、みんな同じだけど。
・・・それでも賭けてみようと思った。
会ってどうするのかなんて分からない。
違う人だったら無駄足になる。
だけど、だけど。
抑えられないから。
好きだから。
衝動的に足が動いた。
ほら、君の事になるとあたしの身体は言うことを聞かなくなる。
このバイクの持ち主が神崎涼であることを願って・・・。
あたしは走った。