切恋~First Love~


「・・・・・・あのね・・・」


「あっ、倉橋さーんっ!」


すぐ横の4組の教室から声がした。


何てグッドタイミング、そして何てバッドタイミング。


話が遮られた。


残念なようで、どこか嬉しい。


その教室から出てきた女の子が、持っていたプリントを佳耶に手渡す。


「7組の旗係だよね?放課後に集まりあるから、7組の旗係の人に言っといて」


「あー、まじ?うん、分かったわ」


「よろしくね~」


顔なじみじゃない子。


「・・・佳耶の知り合い?」


「いや、全く」


それより放課後って・・・。


「旗係全員?あたしも出なきゃダメ?」


「当たり前じゃん」


全然気が乗らない。


面倒臭いなー・・・。


「それより、さっき言いかけたことって何?」


佳耶は忘れてなかった。


このザワつく廊下で?


どんな風に切り出すの?


・・・言えない。


「・・・ううん、忘れちゃったよ」


「そう?」


・・・ううん、それこそ嘘。


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