切恋~First Love~
風の吹く音だけが耳に入る。
のどかなこの教室の中、あたしは口が震えそうになるのを抑える。
「・・・あたし、今からびっくりするようなこと言うよ?」
「うん、言って?」
「言うこと、グチャグチャになるかも・・・。ていうか、絶対なるよ?」
「うん、全然いい」
佳耶はどこまでも穏やかで、逆にあたしの事情を全部知ってるんじゃないかとすら思わせる。
そこら辺にあった木製のイスに座って、あたしは話し始めた。
「・・・まず、あたしね・・・。好きな人できた・・・」
1つ。
「うん」
「初めは気になるだけだったの。でも、だんだん好きになっていって・・・」
「うん」
「あ、あたしね・・・好きな人ができたの、初めてなの。気になる人は、いっぱいできたことあったけど・・・。実はあたしは男好きなんじゃないかってくらい、気になる人はできてたの」
2つ。
「うん」
「・・・で、その人を好きになったのは7月頃なんだ・・・」
「うん」
「でも、佳耶とか流菜ちゃんには言えなくて・・・・・・ごめん」
3つ
「ううん」
話し出すと、どんどん出てくる。
気持ちいいくらい、どんどん出てくる。