切恋~First Love~
「・・・うん、そうだよね」
純粋な恋をしてる流菜ちゃんに、この関係を言うの・・・?
あたしはほんの少しだけ、躊躇いを感じた。
でも佳耶にさっきのことを打ち明ける前までの心境と比べれば、何でもないようにも感じる。
流菜ちゃんにだけ教えないってのも、あたし自身嫌だから。
そんなことを考えながら、あたしはひたすら旗の色塗りをしていた。
その日の昼休み、あたしと佳耶は流菜ちゃんに全部を話した。
流菜ちゃんは凄く驚いてた。
そりゃあ、そうだと思う。
親友2人が、同じ男のセフレになったのだから。
「流菜、こんなこと聞いちゃってよかったのかな・・・」
ポツンと流菜ちゃんがつぶやく。
「・・・どういうこと?」
それに対し、佳耶がすかさず聞き返す。
「だって、流菜はそんな状況になったことないから、2人の辛さとかを全部分かってあげれないと思うし・・・。流菜が何か言ったとしても、それは2人にとってはただの同情にしか聞こえないんじゃないかなぁ・・・?」
流菜ちゃんの言いたいことは、凄く分かる。
流菜ちゃんの気持ちは、凄く分かる。
あたしも今の流菜ちゃんの立場になったら、困るんじゃないかなぁと思う。
・・・もしかしたらこれも同情なのかもしれない。
「・・・流菜ちゃん、1学期にあたし達に話してくれたじゃん。家のこととか、仕事のこととか」
でも、あたしは思う。
「その時のあたしが流菜ちゃんにかけた言葉、第3者から見たら同情に聞こえるかもしれない」
「違うっ、南美ちゃんの言葉は同情なんかじゃないよっ」