切恋~First Love~


受け取る相手が、同情と取らなかったら。


「流菜ちゃんがそう思ってるなら、それでいい。あたしも、流菜ちゃんの言葉を同情だとは思わないから、それでいいの!」


それでいいんじゃないかな。


「南美ちゃん・・・ありがとうっ」


じゃなきゃ、世の中同情だらけになっちゃうよ。


「・・・南美にしてはいいこと言うじゃん」


「でしょっ!」


「いや、褒めてるっていうか・・・まあいいや」




9月、あたし達の間に完全に『秘密』はなくなった。


それぞれが持つ、思い。


3人で全部分かち合って、更に絆が深まった。


少なくとも、あたしはそう思ってるよ。


都合よすぎかな?


ほんの少し前まで、佳耶と流菜ちゃんがこのことを受け止めてくれるか不安だらけだったのに。


完全に・・・信じれていなかったのに。


今はこんなにも、この関係を崩したくないと思ってる。


ゲンキンだよね。


あたしはほんの少しの出来事だけで、心が揺れ動いてしまうんだ。


そんな自分が、前まで大嫌いだった。


心が弱いんだ、そう思ってた。


でも、今は違う。


これも自分なんだ、って受け止められるようになった。


感性豊かな自分、すぐ人をいいように見ちゃう自分。


それは自分が優しいがゆえにだ、って思えるようになった。


自分に酔いしれてる自分。


そんな自分もまた、いいのかもしれない。


そう思えるようになったあたしは・・・少しでも進歩してるよね?




窓から吹いてきた秋の風が、あたし達を撫でるようにして通り抜けていく。


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