切恋~First Love~


「こんなメガネの前置きなんかいらねぇんだよ」


だけど・・・。


常識を外したその行動に。


「いるのはやる気だけだ」


堂々たる態度に。


「いいか?勝てばいいんだよ、勝てば」


言葉にまで常識がない、奴の登場に。


「何が何でも勝て、動け、走れ。いいか?あ?わかったなぁ!?」


乱暴な言葉とは裏腹に、ただ勝利に燃えるその気持ちに。


クラスの目が光る。


実行委員が話してた時とは段違いに、色が灯る。


「「「おおおおおぉぉおおぉぉおぉおぉっっ!!!」」」


神崎涼に、クラスが共鳴する。


「っしゃあぁ!勝ちに行くぞぉっ、全員外出ろやあぁ!!」


そして神崎涼はそう言うと、尾崎君らを引き連れて教室から出ていった。


今の神崎涼の言葉を合図に、クラスのみんながチラホラと動き出す。


その後、みんなが教室から流れ出るように外に向って走りだした。


無論、あたしと佳耶と流菜ちゃんも。


中には神崎涼に怯えてる人や、あの哀れな実行委員のように文句を言ってる人も少しいた。


だが神崎涼の登場で、クラスにまとまりができたのは確か。


神崎涼のお陰で、やる気を出した人がいるのも確か。


体育着の替わりに私服の派手なTシャツを着てくるような奴。


ジャージのズボンだって、だらしなさ過ぎるくらいだらしなく着ている奴。


あれはもしかしたら、腰パンを通り越してお尻ではいているのかもしれない。


そんな奴がクラスをまとめるなんて、聞いたことがない。


< 261 / 337 >

この作品をシェア

pagetop