切恋~First Love~


「借り物競走に出場する生徒は、直ちに入場門に集まってください。繰り返します・・・」


あたしや流菜ちゃん、借り物に出る生徒に召集がかかった。


「流菜ちゃん、行こー!」


「あ、うん」


着ていたジャージを脱いで体育着になり、入場門に行こうとした時。


「あっ、南美!待って!」


「へっ?」


佳耶に呼び止められて、耳元でボソボソと囁かれた。


「・・・・・・分かった?」


「絶対1位になってくる!」


走り出したあたし達の後ろで佳耶が、


「多分ー」


って言ってるけど、多分でも全然いい。


俄然やる気出た!


あたしと流菜ちゃんは校庭をど真ん中を横切って、入場門へ急いぐ。


「ねぇ南美ちゃん、どんなお題が出るのかなぁ」


「さあ、『好きな人』とか『彼氏』とか?」


「校長先生のヅラとかも出る?」


「え、校長の頭ってヅラだったの!?」


待っている間、ずっと流菜ちゃんとそんなことを話してた。


借り物の前の競技が終わり、借り物のメンツは入場。


そして1年生は位置に着いた。


・・・借り物に出るあたしが言うのもなんだけど・・・高校になって借り物って、本当どうなんだろう。


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