切恋~First Love~
借り物は・・・。
「『光るもの』?」
あたしは思わず拍子抜けした。
王道に、『好きな人』とか、『1番の友達』とかかと思ってたから。
でも『光るもの』って・・・アバウト過ぎない?
あたしがあれこれ考えてるうちに、他の子達は四方に散っていった。
ちょっと待って、だって『光るもの』?
「藤井ーっ、何してんだお前ーっ!」
神崎涼の声だけが、やけにはっきりと聞こえてくる。
他の人の応援なんか聞こえないのに、神崎涼の声だけが鮮明に聞こえてきて、余計プレッシャーを感じた。
『光るもの』って・・・太陽とか?
それとも涙?
こんなときに限って、ろくに思考が回らない。
待って待って待って待って。
近くにあって、光るもの・・・。
焦る気持ちを抑え、周りを見回す。
そして、ふと目にとまったもの。
・・・ええい、こうなったらイチかバチかだ!
あたしは運動不足極まりない足で、思いっきり校庭を縦断した。
「佳耶あぁぁーっ!」
叫びながら、2年7組の応援席まで突っ走る。
呼ばれた佳耶は、びっくりしつつもこっちに向かって走ってきた。
「南美、何であたし?」
「い、いいからっ、早くっ」
息も絶え絶え、佳耶の手を引きながら、今来た道のりをUターンする。