切恋~First Love~
ゴール付近にはもう、1人2人他クラスの子がいた。
1人はでっかい箱みたいなのを持っていて、もう1人はバレーボールやバスケットボールをたくさん抱えていた。
「南美、もっと早く走って!あの子達追い抜けるかもよ」
え、もっと早くって・・・無理ー!
あたしが佳耶の手を引いてるはずだったのに、いつの間にか佳耶があたしの手を引いてるし。
足の速さが格段に違う、あたしと佳耶。
佳耶の速さにあたしが付いて行けるわけがない。
「あ、ラッキー!南美、あの子ボール落としたよ」
佳耶にほぼ引きずられる形になって、超が付くほど前傾姿勢になっているあたし。
その姿勢から無理矢理顔を上げてみると、確かにボールがいくつか散らばっている。
拾うの大変だろうな。
「佳耶っ、これいけるかもよ!」
「だね、あとちょっとだし!」
でっかい箱を持ってる子はもうすでにゴールしちゃったけど、まだ2位にはなれるかもしれない。
・・・もしかしたら、そんな気の緩みが悪かったのかもしれない。
「・・・いったぁ・・・!」
あたしは落ちてたボールに足をすくわれ、見事に転んだ。
「南美っ、もうバカっ!」
でも、何とかギリギリ2位でゴール。
あたしはゴールに飛び込んで、豪快にこけながらフィニッシュを飾った。
体育着は砂だらけ。
走り終えた時、流菜ちゃんに、
「ナイスファイトー!」
って言われた。
何にしても、今はとにかく上にジャージが着たい。