切恋~First Love~


ゴールにいた審判に、聞かれた。


「借り物は何ですか」


こんな疲れてるときにいたわりのない・・・。


心の中でつぶやきつつ、借り物が書かれた紙を見せる。


「『光るもの』なのに何で、ええと・・・倉橋さんなんだ?」


「佳耶の、頭・・・」


あたしは、息を切らせながら佳耶を指さす。


「ああ・・・なるほど。OKです」


審判にそう言われ、あたしは2位と書かれた紙を受け取った。


そして集計を終わらせ、あたしと佳耶と流菜ちゃんが応援席に戻る途中。


「あのさ、南美。あたしの頭が光ってる、って金色ってことだよね?」


佳耶が不審そうに聞いてきた。


「・・・?そうだけど、何で?」


「頭が光ってるって、ハゲって意味だと思うじゃん」


真顔でそう言う佳耶に、あたしと流菜ちゃん、吹いた。


更に応援席に戻った途端、神崎涼に爆笑された。


「お前さぁ、何で土にダイブしてんだよ」


でもさ?


「な、うるさいな!2位だったんだからいいじゃんっ」


「もっとかっこよくゴールしろっての」


この言い合いとか。


この時間とか。


君のその笑顔とか。


それが、2位になったあたしへのご褒美。


すっごく嬉しいご褒美だってこと。


君は知らないんだよね?


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