切恋~First Love~
4月◇3
「ぎゃああぁあぁあぁ!!」
奇声にも近い雄たけびをあげたのは、あたし。
藤井南美。
新学期2日目、見事に寝坊しました。
「何で起こしてくれないのー!」
1年の時、毎日のように言った言葉。
多分これから毎日言うことになるんじゃないかなあ・・・と薄々感じる。
昨日は丁寧に施したメイクも今日はパッパと終わらせる。
髪の毛もアイロンで適当に巻いておしまい。
ドタドタと家の中を走り回って、こけるんじゃないかって勢いで玄関を出た。
「いってきまーすっ!」
「えー?朝ごはんはー?」
ドアの閉まり際にお母さんの声がした。
食べれるわけないでしょ!!
玄関を出てすぐ、自転車置き場に向かう。
自転車置き場って言っても、玄関の隣の屋根の下。
一軒家だから自転車を出すまでの時間が短い。
遅刻ギリギリ登校常習犯であるあたしにとって、かなりありがたい。
そしてあたしの学校はチャリ通が許可されているから、これがまたありがたかった。