切恋~First Love~


「おい」


すぐ後ろで、神崎涼の声がした。


・・・あたし?


なんて期待してみるけど、そんなわけない。


口からこぼれそうになるため息を飲み込みながら、あたしは足を進めた。


「おいコラ無視してんじゃねえよ、藤井」


・・・・・・。


・・・・・・ん?


「・・・ええッ!?」


予想外すぎて、前を向いたまま小さく叫ぶ。


・・・叫ぶに小さいも大きいもあるのかな。


どこか他人事のようにそう思いながら、回れ右をした。


ああ、メイクを全部落としたギャルはこうなるんだな、ハハハハ。


あれ、尾崎君髪の色がいつの間にかツートーンになってる。


数人の視線を浴びながら、未だ回転が利かない脳みそのまま、神崎涼を見た。


「・・・お前目がイッてるぞ」


目の前の金髪は、あたしを見るなり眉を寄せた。


「なななななんでしょうか・・・」


心臓はドキドキっていうか、むしろバクバク。


「南美ちゃん会話になってない・・・」


クスリという笑い声と共に、尾崎君の声がした。


いや、だっていきなりすぎてパニックにもなるでしょ。


・・・てか、要件はナンデスカ?


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