切恋~First Love~
恐る恐るといった感じで門を通り、道を進む。
首里城の正殿につくまでに、いろいろな門を見た。
その門のデザインは、全く関わりのなかったあたしにとって、不思議、奇抜、という言葉でしか表現できなかった。
歩いていたとき、ふと2人の男女が目に入る。
2人とも20歳より少し上かな、って感じ。
女の人は甘えたように、男の人の腕に自分の腕を絡ませている。
男の人もそれに応えるように、笑顔で女の人に話しかけている。
・・・あ。
男の人が、女の人の肩に手をまわして。
・・・・・・キス、した。
呪縛にかかったように、目が離せなくなって。
じっと彼らを見つめていた。
2人とも幸せそうで。
とろけるような笑顔で笑いあって。
・・・神崎涼・・・。
意地悪そうに笑う、君が頭に浮かぶ。
あたしも、ああいう風に甘えてみたい。
極上の優しさで包み込んでほしい。
どうやったって叶わないけど。
願わずにはいられないよ・・・。
胸がきゅううって、締め付けられる。
ちょっぴり切なくて。
すごく、すごく、羨ましかった。