切恋~First Love~


玄関の下駄箱に寄りかかりながら、佳耶の話を聞いていた。


あたしも朝あった事を吐き出すように、隅から隅まで話した。


「えー、それ嫌だね。ていうか、南美もやっと分かってくれたー!」


そりゃあ朝に嫌って程、あいつの性格の悪さを感じさせられましたとも。


「でも南美ってさ、すぐ心変わりしちゃうじゃん?」


ポツリ、佳耶が言った。


心変わり?


「ど、どういう事?」


嫌いな人がすぐ変わるって事?


あ、好きな人がすぐ変わるって事?


・・・んんん?


「だからさ?例えば、南美は今神崎涼の事、嫌いって言ってるじゃん?」


うんうん。


「でも、少しいい事とか、親切な事されちゃうとすぐに『いい人!』って思っちゃうでしょ?」


ああー・・・。


「一理あるかもね・・・。でもそれは、心が優しい証拠だよ!」


佳耶は1回嫌いになったらもう好きにはなれないの?


「うーん・・・。だからもしかしたら南美が神崎涼の事を、『いい人!』って思う日が来るかもしれないじゃん」


やっぱりそうなのかなー・・・?


でも当分は好きになれそうにないけど。


「南美は好き嫌いとか、感情の浮き沈みが激しいからなあ」


そして佳耶は困ったように笑った。


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