切恋~First Love~
「佳耶~・・・」
ワークとシャーペンを持って、泣く泣く佳耶の席まで行って助けを求める。
佳耶はイスに座ってケータイをいじっていた。
隣に神崎涼の姿はなくて、それがあたしを安心させる。
いたら気分的に・・・ちょっと、ねぇ?
「南美、何?・・・ていうか顔やばいよアンタ」
佳耶がケータイの画面から目を離してあたしの方を見る。
ひどー!
それが助けを求めてる友達に対する態度かい!
「数学、今日のとこ終わってないよー!おーしーえーてー」
そう言うと、あたしは佳耶の返事を聞くのを待たずに佳耶の机にワークをひろげた。
30ページまでなんだけど、まだ20ページあたりまでしかやってないから・・・あと10ページくらい残ってる。
「あのさ?あたしの返事は聞かないわけ?」
ひろげられたあたしのワークを見ながら、佳耶は苦笑いした。
「まあいいじゃん!」
適当にごまかした。
だって拒否されたら困るんだもん。
「まあいいけどね」
でも何だかんだ言いながら、いっつも佳耶はあたしの勉強に付き合ってくれるんだ。
佳耶は優しい。
そんなわけで今日も佳耶に教えてもらうことになった。