切恋~First Love~
「南美、ワーク!そろそろ弱メン来るよ!」
佳耶に声をかけられて、変なほうに飛んでいってた意識が元に戻る。
この頃佳耶も担任の杉原仁のことを弱メンと呼ぶようになった。
じゃなくて、ワークワーク!
頭を回転させて時計を見て、そして肩を落とす。
絶対終わんないから!
「佳耶、ここは!?」
こうなったら奇跡が起きることを祈る他ない。
弱メンが電車の遅れで学校に来るのが遅くなります、とか。
もしくは高速道路の渋滞で車が進みません、とか。
なんなら来る途中に自転車がパンクしました、でもいいよ。
とにかくまだ来ないで!
何で数学1時間目なの!
今日の時間割を恨めしく思う。
「んで、この三角形DEFとこっちのこれが・・・」
急ピッチであたしに説明をする佳耶の隣に、
ガンッ
「まじねみぃ・・・」
相変わらず乱暴にイスを引く、神崎涼が座った。
その瞬間佳耶の顔があからさまに引きつる。
「佳耶、それで・・・?」
あたしは佳耶の意識を、何とか神崎涼から逸らさせる。